「ケアプランって、よくわからない…」というあなたへ
親の介護が始まって、ケアマネージャーに「ケアプランを作りますね」と言われてなんとなく聞き流してしまったけど、実はあまりわかっていない・・・ということはありませんか?
ケアプランは、介護のある暮らしを支えるための土台です。
ここではちょっとわかりにくいケアプランについて解説します。
ケアプランとは?
ケアプランは正式名称を「居宅サービス計画書」といいます。厳密に言うと、居宅サービス計画書は全部で7種類ありますが、今回は介護保険利用者が受け取る、第1〜3表について説明します。
居宅サービス計画書は介護保険サービスを利用するために必要なもので、この計画書に書かれていない介護保険サービスは基本的に利用できません。
ケアマネージャーとの面談で、介護の困りごとや希望を相談し、それを解決するためのサービス内容を計画としてまとめます。
- 誰が作る? → 利用者や介護者の話をもとに、ケアマネージャーが作ります
- 目的は? →介護の困りごとを解決し、安心した生活を送るための介護サービスを利用するため
- 書かれていること → 利用者や家族の状態や目標、介護サービスが行う内容やサービス事業者名・利用頻度 など
ケアプランは一度作って終わりではありません。定期的に見直したり、利用者や介護者の状態が変わった時にもその都度柔軟に変更します。
ケアマネージャーはプロの目線から見て、よりよい暮らしにつながる可能性があると考えた場合に、あらたなサービスを提案することがあります。
しかし利用するかどうかはあくまで本人と家族の判断です。介護サービスを使うということは費用もかかります。ケアマネージャーから提案があっても、必ず応じなければならないものではありません。
ケアマネージャーからこのような提案があったけど迷っている場合、
⚫️今は選択肢のひとつとしてとどめておく
⚫️実際に利用してみて、良い効果が得られないと思ったら中止または変更する
ということもできます。疑問や腑に落ちないことは気軽にケアマネージャーに説明を求めましょう。
ケアプランの例
ここでは具体的な事例から、どんなケアプランが作られるかみていきましょう。
事例
85才、一人暮らしの女性 要介護1
軽い物忘れ程度の認知症があるが食事や入浴、トイレなど身の回りのことはできる
趣味はカラオケ。娘さんは近隣に居住
困っていること:カラオケ仲間が入院した頃から、外出頻度が減り閉じこもりがちで物忘れが増えている

最近母の元気がなくぼんやりしていることが多いわね。人と合うこともなくなり閉じこもりがちなので、このまま認知症が進まないか心配。

それは心配ですね。
気分転換をかねて外出して、楽しくカラオケができるようなケアプランを作りましょう。
ポイント
ケアプランは本人も見るものなので、目標の内容は「できないこと」ではなく、「なにがしたいか」「どう過ごしたいか」という希望的なものがよいでしょう。
本人の好きなことや意欲を大切にケアプランを作ることで、生活に前向きな気持ちが生まれやすくなります。
ケアプランは変更できる?
介護保険を利用する方は、なんらかの病気や障害などのため生活のしづらさを抱えていることが多く、ちょっとしたことがきっかけで体調を崩す、ケガをする、ということもめずらしくありません。
このような突然の出来事をきっかけに状態が悪くなり、これまでできていたことができなくなる、ということはよくあります。
また、本人の状態は何も変わらなくても、介護する家族が体調を崩して介護ができなくなる、ということもあります。
このような場合、その状況に応じて都度ケプランを変更します。なにか状況が変わった時には、すみやかに担当ケアマネージャーに連絡しましょう。
「デイサービスを増やしたい」「ヘルパーさんに来てもらいたい」など、ケアプランを変えたい場合も、まずは ケアマネージャーに相談しましょう。
ケアプランをもらったら確認したい3つのポイント
① 本人や家族の希望が反映されているか
「自宅で過ごしたい」「デイサービスを利用したい」などの本人や家族の希望が反映されているかを確認しましょう。
② サービスの内容と量が適切か
例えば、ヘルパーさんにお風呂に入れてもらいたい場合、それがサービス内容に含まれているか見てみましょう。また、サービスの時間や回数が多すぎる、逆に少なすぎるということがあると、本人や家族に無理がかかるおそれがあるため、その点もチェックしましょう。
③ 安心して暮らしていけそうか
ケアプランは、本人と家族が安心して暮らせるように作られるものです。全体を見て、「これなら大丈夫」と思えるかどうかも大事なポイントです。
とはいうものの、最初から完璧なケアプランを作ることは現実的ではありません。ある程度納得したら、それをベースにサービスを利用して、そのなかでまた新たな希望や変更点があれば都度見直していきましょう。
困ったときはケアマネージャーに相談を
- 内容が難しくてわからないとき
- 介護サービスや事業者を変更したいとき
- 本人がサービスを拒否しているとき
- 本人が病気やケガなどにより状況が変わったとき
- 介護者の状況が変わったとき など
ケアプランはできるだけわかりやすい表現で作りますが、専門用語が書かれることがあります。言葉の意味がよくわからない、ということがあれば気軽にたずねましょう。ケアプランに書かれている内容で、ここを変えたいという時もケアマネージャーに伝えましょう。
ケアプランのサービスを本人が拒否することがあります。例えば、デイサービスに行く計画を立てても、本人が拒否する、ということはよくあります。
その場合、すぐにデイサービスを中止せずに、何度かデイサービスの人に来てもらううちに慣れていく、ということはよくあります。それ以外にも、はじめのうちだけ家族がデイサービスに送っていくと安心することもあります。はじめの一歩が踏み出せれば、案外楽しんで通うようになる方も多いです。
記憶障害をともなう認知症のかたは、不安を感じやすい傾向にあります。そのため行ったことのない場所に対して不安を感じると、拒否や怒りという気持ちが出やすくなります。
まずは本人にとって“安心できる場所”と感じてもらうことが大切です。デイサービスになんとか行ってもらおうと焦って一生懸命になるご家族もいますが、その焦りは認知症の人に伝わりやすいです。
このような場合は、ケアマネージャーだけでなくデイサービスの担当者といっしょに、デイサービスを利用できる方法を相談すると良いでしょう。
介護サービスはトライアンドエラーを繰り返すこともあります。
介護サービスを初めて利用する場合、まずはやってみることも大切です。続ける中で本人の受け入れができていくこともよくあります。
まとめ|ケアプランは、〝くらしを支える〟道しるべ
ケアプランは、「制度上必要だからあるもの」ではなく、介護を受ける方と家族が安心して暮らすための道しるべのようなもので大切なものです。
ケアマネージャーは、あなたの伴走者です。遠慮なく声をかけてより良いケアプランを一緒に作っていきましょう。
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